虚実
March 03, 2010
詩 '10
私は貴方の記憶を、散らばったガラスの破片のように途切れ途切れにしか知ることが出来ないけれど、貴方は私のすべてを知っている。私の経験から私の望むことをしてみたり、私の思い出から私の傷を抉ってみたり。とてもうらやましい。貴方は空も飛べるしこの空気の不味さも知らない。悩むことを私に見せず羨望させることが上手いし、道で転んだりしない。私の夢のような存在でどこかつまらない。そう、つまらない。何にも得ることのない人形劇のような愛くるしさで私を誘う。ねえ、その誘いに乗ったら私はどうなってしまうの。その手をとったらここに戻ってこれなくなってしまうの。答えてくれない。貴方はいつもガラスの破片が光に反射して僅かにきらめくように、所詮その程度にしか教えてくれない。ねえ、答えて。あなたはこちらのすべてを知っている。貴方が現実なのでしょう?
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位子
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